- HOME
- 成人のアトピー性皮膚炎
成人のアトピー性皮膚炎
成人のアトピー性皮膚炎漢方治療
アトピー性皮膚炎は皮膚症状に基づく病気ですが、本質は皮膚表面だけのものではありません。皮膚表面の問題(標証)とより深い部分の体質的な問題(本証)の両方を視野に入れながら治療を行います。
まず標証の治療(標治療)を行いますが、部位による変化、季節による変化が各個人それぞれに見られるので、処方はそれに従ってさまざまに変法をしていきます。標証が軽快後は、その症状をもたらしたと思われる体質的な虚弱を補うこと(本治療)が必要となります。実際にはこれを治療していかないと、一時的にきれいになってもまた悪くなってしまうということです。それには、補気、補血、滋陰剤を中心にして体質を強くしていこうというのが根本的なアトピー性皮膚炎の治療です。
特に成人は長い経過によって、本治療を行うべき症状が修飾されているため標治療が重要ですが、最後には本治療が必要となります。特に成人では社会的な生活が困難となるので、まず顔面や露出部の皮膚炎を軽快させる必要があります。
同じアトピー性皮膚炎の病名でお悩みの患者さまにも、いろいろな症状をお持ちの方がおられ、またいろいろな体質的な原因をお持ちの方がおられますから、治療も千差万別となってきます。患者さまの状態に応じた使い方をします。
■発症部位の症状・体質別漢方エキス剤処方例
1.顔面・頚部頸部の症状
紅斑が主 | |
---|---|
紅斑 | 白虎加人参湯 |
紅斑が強い | 白虎加人参湯+桔梗石膏 |
湿潤もある | 白虎加人参湯+黄連解毒湯 |
ストレスもある | 白虎加人参湯+四逆散 |
便秘がある | 白虎加人参湯+桃核承気湯 |
胃腸虚弱 | 白虎加人参湯+人参湯 |
体力が無い | 黄連解毒湯+補中益気湯 |
女性 | 白虎加人参湯+桂枝茯苓丸 温経湯+補中益気湯 |
湿潤が主 | |
湿潤 | 治頭瘡一方、梔子柏皮湯 |
湿潤が強い | 治頭瘡一方+黄連解毒湯 |
眼囲に湿潤 | 梔子柏皮湯+柴胡桂枝湯 |
炎症が強い | 治頭瘡一方+桔梗石膏 |
乾燥がある | 治頭瘡一方+四物湯 |
ストレスがある | 梔子柏皮湯+四逆散 |
女性 | 治頭瘡一方+桂枝茯苓丸 |
2.体幹・四肢の症状
紅斑が主 | |
---|---|
紅斑 | 消風散+白虎加人参湯 |
紅斑が強い | 上記に桔梗石膏を併用 |
痒みが強い | 消風散+黄連解毒湯 |
湿潤がある | 消風散+越婢加朮湯 |
化膿している | 荊芥連翹湯+桔梗石膏 |
ストレスがある | 消風散+四逆散(抑肝散) |
湿潤が主 | |
湿潤 | 越婢加朮湯、黄連解毒湯 |
浮腫がある | 越婢加朮湯+白虎加人参湯 |
汗で痒い | 桂枝加黄耆湯+黄連解毒湯 |
汗が多い | 桂枝加黄耆湯+防己黄耆湯 |
化膿している | 荊芥連翹湯+黄連解毒湯 |
ストレスがある | 越婢加朮湯+四逆散 |
痒疹 | |
湿潤がある | 越婢加朮湯+桂枝茯苓薏苡仁 |
化膿している | 荊芥連翹湯+桂枝茯苓薏苡仁 |
便秘がある | 桃核承気湯の併用 |
乾燥 | |
乾燥 | 当帰飲子 |
乾燥が強い | 温清飲+四物湯 |
紅斑もある | 温清飲+桔梗石膏 |
痒みがある | 当帰飲子+黄連解毒湯 |
痒みが強い | 温清飲+黄連解毒湯 |
女性 | 温清飲+桂枝茯苓丸 |
ストレスがある | 四逆散の併用 |
その他 | ※他の漢方エキス剤に併用 |
発汗で悪化 | 桂枝加黄耆湯、柴胡桂枝湯 |
体力がない | 人参湯、補中益気湯 |
ストレスがある | 四逆散、抑肝散、加味逍遥散 |
喉がつまる | 半夏厚朴湯 |
冷えがある | 十全大補湯 |
冷えが強い | 当帰四逆加呉茱萸生姜湯 |